数学について、賢人のことば。
第16回は、数学と近代絵画とのあいだ、其の2です。
面白かったので、少々長めに引用してます。★☆は捕捉とコメント
われわれが造形として表現するのは、われわれの普遍的な知覚を表
ここに、新しい造形的な表現が必要となるのであり、それは両者(
変化するもの(自然)は色彩の平面とリズムによって表されるのに
(ピート・モンドリアン)
★初期の作品に見られた神智学的、象徴的な意味がなくなり、
中和された〈均衡関係〉とか〈多様の統一〉の関係といった≪数学
関数的とは、≪機能的≫ということであり、≪記号的≫ということ
★絵画における〈新しい造形〉の諸要素が機能的、関数的、記号的
☆均衡の関係を造形として表現する!そして、絵画と建築と都市、
★★花咲くりんごの木(1912年)、モンドリアン★★
★★コンポジション(1921年以降に制作されたもの)、モンド
本質的なのは感覚である。
感覚とは決定的なものであり、それゆえ芸術は無対象表現に、シュ
私は「物」と「表象」が感覚の模造とみなされることに気づき、意
白い地の上の黒い正方形は無対象の感覚の最初の表現形式であった
自然とは私達の神経組織の活動が展開する環境のことである。
人間は自然のなかに意識の外側にある無軌道な行動を見出し、意識
神経組織の束は諸々の事態が作用することで直線と曲線による表現
絵画作品の客観的な把握はもともと自然の描写に依存している。
かりに作品が自然に似ているとするなら、それは理解可能で客観的
(マレーヴィチ)
☆意志と表象の世界?どっかで聞いたことがあるような。
★★白地の上の黒い正方形(1915年)★★
★★飛行機の飛翔(1915年)★★
★★白の上の白い正方形(1918年)★★
幾何学の点はわれわれのイメージでは沈黙と発言との、最大の、こ
点は時間的にもっとも簡潔な形態である。
線は運動から生まれ、点の自己完結した、最高の静止を否定するこ
長さとは時間の概念である。
地-平面とは作品の内容を受け入れるのに適した物質的平面のこと
地-平面を図式化すると、二本の水平線と二本の垂直線を境界とし
水平線と垂直線の特徴が分かれば、地-平面の基礎的な響きも自然
冷たい静止の二つの要素と、暖かい静止の二つの要素は二つの静止
コンポジションとは、要素の中に緊張という形で含まれる生きた力
(ヴァシリー・カンディンスキー)
★一方で色彩の物理化学、生理学、心理学、そして他方において線
☆点、線、面について明確に定義できるんですね。
★★黒い三角形(1925年)、カンディンスキー★★
すべてを理性的に捉えようとするのは、間違いではなかろうか。
もともと相反するように見える矛盾も、本当はそれぞれ相通ずると
世界をひとつの全体として眺めるとき、それは動力学的な性質を備
静力学の問題は、世界全体を部分的に取り上げたとき、はじめて起
作品における本質的なものとは何か。生成である。そして、それは
線描の基本をなすフォルム要素は、点であり、線、面、空間のエネ
時間こそ造形活動の場となり、運動こそ造形の性格を決定する。
線のフォルムと面のフォルムとの組合せでは、線の方はまったくア
個体は、色の性質に従って、それらの四角形を青、赤、紫などの複
(パウル・クレー)
☆絵画には全体を眺める視点があるんですね。
★★セネキオ(1922年)、クレー★★
★★肥沃な国に立つ記念碑(1929年)、クレー★★
★★ドゥルカマラ島(1938年)、クレー★★
形体の単純化、スーラに代表される形体の基本的、幾何学的輪郭へ
この新しい技法は私に大きな印象を与えた。
絵は結局科学的な方式へ還元されたのである。
わたしの色調のあらゆる関係が見出されたとき、そこから生きた色
(アンリ・マティス)
☆幾何学、科学、絵画、そして色から音色へ、フランス人っておし
★★桃色の裸婦(1935年)、マティス★★
★★青い衣装の婦人(1937年)、マティス★★
★★切り絵、マティス★★
非ユークリッド幾何学や相対性理論においても、空間や時間の形式
またそれは、知覚される空間や時間に対し、それに固有な存在論的
何となれば、知覚される空間や時間は多形的であって、常識や科学
(メルロ-ポンティ)
ご参考
「バウハウス叢書 新しい造形(新造形主義)」ピート・モンドリアン著、宮島久雄訳
「バウハウス叢書 無対象の世界」カジミール・マレーヴィチ著、五十殿利治訳、中央
「バウハウス叢書 点と線から面へ」ヴァシリー・カンディンスキー著、宮島久雄訳、
「クレーの日記」南原実訳、新潮社
「造形思考」パウル・クレー著、土方定一、菊盛英夫、坂崎乙郎訳
「マティス 画家のノート」二見史郎訳、みすず書房
「自然の哲学」ハックスリ、コリングウッド、メルロ-ポンティ著