0514 小学生Hくんより&スタッフ本間数学ブログ

教室長です。

久しぶりのブログ更新になります。

皆様いかがお過ごしでしょうか。

教室は3月の卒塾で本年は多くの卒業生があったことから、現在人数的には少し落ち着いてきました。

それでも4月5月と少しずつ新たに体験に来て通い始める生徒も出始めてきているので、いつもの循環が始まったなという感じがしています。

そんな中で通い始めて2年くらい経つ小学6年生のHくんが初めてブログに挑戦してくれましたので、以下にそのまま掲載いたします。

 

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グミの話ができるから楽しい。

この塾のいい所は、先生と気軽に話せる所相談に乗ってくれるところ。

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何を書けばいいのか迷っていたので、塾の感想をお願いします、と伝えたところこの2行を書いてくれました。

 

数学について、賢人のことば。
第20回は、数学と建築とのあいだ其の3、ローマです。

おへそから宇宙へ、
ギリシャからの流れもまぜこぜにして眺めていきます。

★☆は捕捉とコメントです。


☆まず、おへそから

 人体の中心は自然に臍である。
もし人が手と足を広げて仰向けにねかされ、コムパスの先端がその臍に置かれたならば、円周線を描くことによって両方の手と足の指がその線に接するから。

レオナルド・ダ・ヴィンチは、
ウィトルウィウス的人体図」の中で、円の中で手を広げる男性を描いてますね。

★★「ウィトルウィウス的人体図」★★
の絵があればお願いします。

 自然が人間の身体を、肢体がその総計である全体の姿に比例的に照応するよう構成したとすれば、昔の人たちは、建物を造り上げるにあたって一つ一つの肢体が全体の外観に対して通約的正確さを保つよう、十分な根拠をもって定めたのだと思われる。
 さらに、かれらはすべての建物に不可欠と考えられる計測の基を指・掌・足・腕のような人体の肢体から集め、それをギリシア人がテレイオンという完全数に配分した。

☆人体は物差しだった?
それをもとに建物の寸法が決まる。
と同時に数の神秘も発見されたのでしょうか。

 建築家にとって、建物が一定部分を用いた比例によって割付けの正確さをうること以上に、これにも増して心を用いなければならぬことは何もない。
それ故、シュムメトリアの割付けが定められ、理論に従って計測が行われる。

☆部分から全体へ、そのあいだに、
比例、シュムメトリアの割付けがあると。


ギリシャにおける空間的秩序は?

幾何学やシュンメトリア(シンメトリー)、という概念が、ギリシャの個々の建物を決定している。
加うるに、もっと全般的な直交的秩序が、都市の計画とかかわって用いられている

☆建築や都市は、空間を表現するもの?
それとも人間を表現するもの?


☆すべての道はローマに通ず

 ローマは、
カプート・ムンディ[世界の頂]であり、インペリウム[帝国]の諸道路は
カピトーリウムの丘の麓のミリアーリウム・アウレウムの円柱を出発点としていた。
★ローマ人は、中心を直交的、動的秩序のはじまりとすることにより、エジプト人の永遠なる静的イメージを、出発と帰還との可能性すなわち環境を征服する可能性が主要な実存的意味となる動的世界に変えた。

 ヤーヌス神は、
門の神であり、出発と帰還の神でもあった。
これは既知の意味深い中心から離れて世界を征服しようとする人間の願いである。
道路網では結節点(ノード)がとりわけ重要であり、戸口と凱旋門(記念門)が置かれた。

★★コンスタンティヌス凱旋門★★
の写真があればお願いします。

 場所を聖化するに際しては、
アウグル(卜占官)が中央にすわり、<リトゥウス>なる杖によって、中心を通る二つの軸を定め、空間を四つの領域に分割した。
左方と右方、前方と後方である。


ギリシャでは、

 世界について、相互に作用し合う多数の自然の力と人間の力との複合性の中から徐々に生じてきた。これはギリシャ神話の物語において具体化された。
ギリシャ人は彼らの注意を人間的側面に集中し、彼自身の人格を形成する諸要素を外的対象物に投射し、その結果を擬似的な神々の人格化として象徴した。

★人間が哲学と科学を体系的に発展させることに繋がる。

★★エピダウロスの劇場★★
の写真があればお願いします。

また、

 ギリシャの景観の特色は、自然の土地が実に変化に富むことである
これらの場所の特性の解釈において、ギリシャ人はそれらを神々として人格化した。
聖所は場所すなわちトポスの性格によって決定される。

★★アテナイのアクロポリス★★
の写真があればお願いします。


天文学

 「神的な存在と類似の事柄、すなわち秩序、通約可能性、恒常性」を考察する天文学こそが「人間の行為や性格の善さや美しさを見極める視点を人々に与え」かつ「神的な美と同様の魂のあり方を養う」と称揚する。
プトレマイオス著「アルマゲスト」より)

☆宇宙(天文学)から人間を観る。
そのあいだに、類似、秩序、行為、性格の共通性を見る。

 しかし、観測の計算の正確さは、また同時に天界の不規則性をも正確に描写した。
天体の円運動の均一性というギリシア天文学古来の基本原理は、「アルマゲスト」によって実質的に破綻したと言えよう。

☆天界の不規則生から地動説への飛躍は?


天文学から神殿へ

 ローマのパンテオンは新しい実存的次元の表現として内部空間を導入する。
巨大なドームを冠した円堂と円柱列のある大きな前廊より成っている。
ドームの格間は、この球の中心に対してではなく、床の中心に、そしてそこに立つであろう観者に対して関係づけられている。
それによって規定される垂直軸が、天頂の大きな開口を通って天に向かって自由に立ち上がる。
それは宇宙の秩序と生きた歴史とを一体化し、人間をしてみずからを神の霊感を受けた探求者・征服者、神的計画にのっとった歴史の創造者であると経験させる。

パンテオンの中心は人間、その垂直軸は天へ。

★★ローマのパンテオン★★
の写真があればお願いします。

 ローマ人にとっては、地上における生は理想的原型の単なる不完全な再生産ではなかった。それは神的意志の直接の意味深い顕現であった。秩序と行為とは、同一の史的経過のさまざまな様相であると理解されたのである。

☆この後、キリスト教世界とどう繋がっていくのでしょうか?


ご参考

ウィトルーウィウス建築書」森田慶一訳、東海大学出版部
「西洋の建築 空間と意味の歴史」クリスチャン・ノルベルグ=シュルツ著、前川道郎訳、本の友社
「哲学の歴史 第2巻 帝国と賢者」内山勝利責任編集、中央公論新社