2021.3.27 動き始めた?数学

(スタッフ本間 連載)

数学についての賢人のことば。
今回は、歪んだ真珠「バロック」から、
動きはじめた?数学です。

記憶の中には、数と量とに関する無数の比例関係や法則がふくまれていますが、それらのいずれも身体の感覚によって印象づけられたものではありません。これらのものには、色もなく、音もなく、においもなく、味もなく、さわることもできないのですから。
(アウグスティヌス)

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最も完璧な形は円や方形や六角形、そして八角形などである。
サン・ピエトロのドームは確かに美しく、古代の作品にも見出せないものである。
(ベルニーニ)

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私たちが幾何学の命題を証明することが出来ますのは、私たちがこれらの命題を作っているからであります。
仮に私たちが物理学の命題の証明を与えることが出来ると致しますなら、私たちがそれを無から作ることが出来るということになるでありましょう。
(ヴィーコ)

今日知られている数の性質は、大部分が観察によって明るみに出たのであり、
それが真実であることが厳密な証明によって確かめられるよりずっと前に分かっていたのである。
(オイラー)

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われわれは数の等しさや割合について判断できるための精密な規準を持っているのであって、
その規準に合うかどうかで数の関係を規定するのであり、そこには誤りは少しも起こり得ないのである。
(ヒューム)

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数学は数学としてあらかじめ存在したのではなく、生成し成立した
しかもこの数学の生成に哲学が関与し、そのことが同時に逆に哲学そのものの展開であり、自己形式であった。
(下村寅太郎)

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数学が活用されるだけでなく、その存在を問われているような、
そして、われわれとのあいだも問われるような、
なんだな難しくなってきましたね。

いよいよイマヌエル・カントの登場です。
続く。

「世界の名著16 アウグスティヌス山田晶責任編集、中央公論社
「ベルニーニ バロック美術の巨星」石鍋真澄著、吉川弘文館
「世界の名著続6 ヴィーコ清水幾太郎責任編集、中央公論社
「新装版 オイラーの贈物」吉田武著、東海大学出版会
「人性論」ヒューム著、土岐邦夫、小西嘉四郎訳、中公クラシック
下村寅太郎 科学史の哲学」みすず書房