2021.2.27 幾何学と天文学のあいだ

(スタッフ本間)
数学について、今回は、幾何学天文学のあいだを覗いてみました

他面から言うと、物体さえも、実体たる点においては、面よりも劣っており、面は線よりも、線は点よりも劣っている。
というのは、物体はこれらによって限定されており、そしてこれらは物体なしにでも存在しうるのに物体はこれらなしには存在しえないと考えられるから。
(アリストテレス)

形や位置変化による運動に於ける性質を明らかにする部門、即ち形状、量、大きさ、場所、時間その他は我々の研究対象であり、この部門こそいわば神学と物理学との中間にあって数学を構成する。
(プトレマイオス)

諸天体の運動が円状であることをわれわれは思い起こすことにしよう。というのは、現に自らの形を最も単純な立体[=球]に表現している天球のもつ可動性は、円状に回転することであり、等しく自らのうちへ動くかぎりにおいて、そこには始めも終わりも見出だせず、一方を他方から区別することもできないからである。
(コペルニクス)

源泉から発して宇宙空間を伝播する力や、それによりある場所で時間をかけて遂行される運動などは全て幾何学的な事柄である。
それ故、実際にこの力は他の幾何学的な必然性にも従属する。
(ケプラー)

論理學は推論のすぐれた手引ではありますが、発見への刺激といふ点からみれば、幾何學に属する鋭い類別力には較べものにならない
(ガリレオ)

二種類の精神があるのだ。
一方は、原理から発する帰結をすばやく徹底的に見極めるが、それは適切の精神である。
他方は、多数の原理を混同することなく理解するが、それは幾何学の精神である。
(パスカル)

江戸中期から後期の画僧、仙崖義梵(せんがいぎぼん)が「○△□」が重なる絵を描いてますが、あれも幾何学の精神でしょうか。

人は幾何学によって、広い宇宙を想像し、ドキドキしていたんですね。

ご参考
アリストテレス形而上学」出隆訳、岩波文庫
アルマゲストプトレマイオス著、藪内清訳、恒星社厚生閣
「完訳 天球回転論」コペルニクス天文集成、高橋憲一訳・解説、みすず書
「楕円軌道の発見 新天文学ヨハネス・ケプラー著、岸本吉彦訳、工作舎
ガリレオ・ガリレイ 新科学対話」今野武雄、日田節次訳、岩波文庫
「パンセ」パスカル著、塩川徹也訳、岩波文庫

プトレマイオスコペルニクスの間を知りたい方は、「完訳 天球回転論」の解説を読んでみて下さい。